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「カラダがデカいことをコンプレックスに思ったことはない」 俺たちポジビスト vol.2 辻幸弘さん

元「相撲取り」「ボディガード」という異色の経歴を持つ辻さん。日本で初めての、太った男性のためのファッションショー「東京ポッチャリCOLLECTION(以下:ポチャコレ)」に際して開催されたオーディションを勝ち抜いたモデルの1人です。ポジティブでビッグな人たちの生き方を追う、それがこの企画「俺たちポジビスト」、第2弾は「カラダがデカいことをコンプレックスに思ったことはない」と豪語する辻さんのお話を伺ってきました。

■「俺たちポジビスト」バックナンバーはこちら!
「三段腹から一段腹になったときは"やべえ"って思いました」 俺たちポジビスト vol.1 東田拓也さん 前編
「着られる服がなくなってオシャレに目覚めた」 俺たちポジビスト vol.1 東田拓也さん 後編


辻幸弘(つじ・ゆきひろ)さんは、小学5年生から相撲をはじめ、大学生時代から相撲部屋に入ったという元「相撲取り」。9年間、プロの相撲取りとしての日々を過ごしたあと引退し、ボディガードなどのお仕事を経験されたそうです。相撲取り時代の最大体重は155kg、現在の体重も120kg。小学校を卒業する頃には既に180cmを超えていたという筋金入りの「デカメン」です。現在、彼女はいないという辻さん。彼女募集中です!と明るく話し始めてくださいました。

思い立ったらすぐ行動!
電車で見かけた女性に名刺を渡したことも


―元相撲取り、元ボディガード、そして今回はモデル、という異色の経歴の辻さんですが、今回はどうしてオーディションに応募されたんですか?


「ボディガードの仕事が忙しくて、ずっと彼女を作れなかったんですよ。それで、彼女ができたらいいなあって思ってファッションに興味を持ちはじめまして(笑) 相撲取りをやっていたときは、ありがたいことにファンになってくださる人もいたんですけど、先輩からは手を出すなと言われていました。ボディガードのときも声をかけてもらうことがあったんです。でもなかなかご縁がなくて…」

―どういうタイプの女性が好みなんですか?

「身長170cm以上の、モデル体型の人がいたらなあなんて(笑)」

―あ、そういう…なるほど、それはなかなかいませんね。

「そういう子とお付き合いしたこともあるんですけど、いろいろ合わなくって。だから今は、この子素敵だなと思ったらすぐに声をかけるようにしています。行動あるのみだと思って、前にお付き合いした人と出会うまでは、それこそ20人以上にフラれました。電車の中で見かけた好みの人に、iPadを台に名刺を渡したこともあります。めっちゃ笑ってました(笑)」

キャラクターづくりが大切。でもジャイアンみたいなキャラクターは大ハズレでした(笑)


実際に婚活をしていて、真面目に彼女募集中という辻さん。一般的な社会経験がほかの人よりも少なく、「何事も勉強!」というノリでオーディションに応募したのが本当のところとのこと。そんな辻さんに「デカメンならではのこだわり」を伺ってみました。

「…いやあ、特にありませんよ。どっしりと構えて、大きな視野で状況を見て、必要ならば出ていくけど、そうでないなら出しゃばらない、ってことですかね。あ、でも自分のキャラクターづくりは意識しています」

―キャラクターづくり、ですか?

「そうそう。たとえば会社とかで、同じことを言うのでもある人が言うと怒られるけど、別の人が言うと怒られない、みたいなのがあるじゃないですか。単に怒られないようにするというだけじゃなくて、自分のキャラクターをちゃんと捕まえておくと、自分たちみたいなデカメンは生きやすくなると思うんです。ただのデカい人として認識されるのではなくて、この人はこういうキャラクターなんだなって捉えてもらう。相撲漬けの狭い世界から引退したとき、いわゆる社会人生活に苦労しまして。20代のほとんどを相撲のことしか知らずに過ごしていましたから。日々の稽古で精神的にも肉体的にも鍛えられていたのですが、ほかの人たちが社会勉強をしてきた経験があるのに、自分はそこが欠けている。社会人ならではの苦労ですね。失敗しても特に落ち込んだりはしないんですが(笑)」

―そのあたりは、さすがに鍛えられた精神力ですね。でも自分のキャラクターを捕まえるってどうやるんでしょうか。

「身近な人たちに自分のイメージを訊いてみて、まずはそれに合わせたキャラクターを演じてみるんです。それでどういうところが良くて、どういうところがうまくいかないのか、試行錯誤を繰り返しました」

―試してみてこれは失敗したなあというキャラクターはありましたか?

「いろいろ失敗しましたよ。なかでもジャイアンみたいな横柄で偉そうなキャラクターをやってみたときは大ハズレでした。信用は失うし。友達にも迷惑をかけたので、あとで謝ったりしました(笑)」


―キャラクターづくりのほかに気を付けていることはありますか?

「清潔感ですね。夜ジムに行ってシャワーを浴びて、帰ったらすぐに寝てしまうので、朝起きたらかならず風呂に入って、ニオイの原因になりそうなところを重点的に洗ったり。更衣室のロッカーに芳香剤を入れて、近づいたときに体臭が気にならないようにしたりもしています」


―そういえば、モデルデビューにあたって、減量とカラダづくりをされたそうですが、何か変わったことはありましたか?

「体重を100kg以下におとして、そこから20kgを筋肉で増やしたんですが、100kgを切ると道端でぶつかってくる人が増えたんです。でまた、120kgまで戻したら、ぶつかってくる人が減って(笑)。見ていないようで、カラダの大きさは見られているんですね(笑)」



穏やかな佇まいで笑顔をたやさずインタビューに応じてくださった辻さんですが、道端ですれ違うときに肩をぶつける勇気のある人はなかなかいないでしょう。

電車で女性に声をかけたり、このオーディションに挑戦したりと、いつでも前向きに行動してきた辻さんは、まさに理想の“ポジビスト”。キャラクターづくりや、デカメンならではの気配りも忘れない、努力家な一面もありました。学ぶ姿勢を持ち続け、人生を楽しむ姿はぜひ見習っていきたいですね!